星組『ロミオとジュリエット』:歴代の「死」キャスト比較と気になる天華えま

星組の『ロミオとジュリエット』が宝塚大劇場で千秋楽を迎えた。私もありがたいことに観劇することができた。(Aパターンをみました。)過去に、2011年の雪組、2013年の再演星組は劇場で見たはずなのだけど、あんまり覚えておらず(もう10年前と8年前だし)、すごく新鮮な気持ちで観劇できた。結果、ものすごく感動できた。全体像とは少し外れるのだけど、今日は観劇中から何か引っかかって、観劇が終わってもずっと心に引っかかっているぴーすけ氏(天華えま氏)の「死」について。

天華えまの「死」をみた最初の感想

最初に天華えまの「死」を見た感想は、「え、なにこのちんちくりん、全然かっこよくない、これはないわー」だった。(ファンの方に聞かれたらぶん殴られそうな感想である・・・・ごめんなさい・・・。)なんか印象が小さい、世界を手中に収めてる感じはしない。「怖い」とも思わない。なんか、常にニヤニヤヘナヘナして、ロミオにへばりついている。あとでWiki見て知ったのだが、天華えま氏は171cmあり、決してちんちくりんではない。でも「死」としてのあり方がとても不思議で、でも気になる、と言う印象だった。

歴代の「死」キャスト比較:基本的に「死」は「トート系の役」だと思う

ロミオとジュリエットとエリザベートはどちらも小池修一郎作品である。乱暴に言ってしまえば、ロミオとジュリエットの「死」はエリザベートの「トート」と同系列の役だとも言えるのではないか。トートは劇中で「黄泉の帝王」と呼ばれる。人間界よりも一段上にいて、全てを統べる帝王、絶対的な存在、として描かれ、歴代のトートもそのように演じられてきた。

ロミオとジュリエットの「死」は「黄泉の帝王」として描かれているわけではないけれど、ロミオとジュリエットを悲劇に追い込む存在、「愛」に対する存在として、男性的、攻撃的に演じられることが多く、そこがトートっぽいなと思っていた。歴代の「死」を演じた生徒を見ても、非常に大柄で押し出しの強いタイプのジェンヌさんだったり、トートに関連するジェンヌさんが多い。(真風の「トートをやってた水夏希に激似っていうのはこじ付けだけど・・・でもほんと似てるんだよ・・・。)

天華えまちゃんは171cmと170cm超えてはいるけど「死」役の中では一番小さく、かつ1cmしか違わなくても肩幅や背中ががっしりしていて非常にガタイがいいたまきちのようなイメージでもない。

初演星組真風涼帆175cmエリザベートではフランツだが、過去にトートを演じた水夏希によく似ている
とても大きい
雪組彩風咲奈173cm特にトートとの関係はないけど大きい
月組珠城りょう172cmのちに「エリザベート」でトート演じる
天華えまちゃん除くと最小だけど、ガタイがいい
再演星組麻央侑希176cm特にトートとの関係はないけどとても大きい
*役変わりの真風氏は省略
2021年星組天華えま171cm
愛月ひかる173cm特にトートとの関係はないけど大きい

「トート系」ではない天華えまの「死」

ということで、これまで色々と個性の違いはあれど、「男性的」「攻撃的」そしてクールにシャープに演じられることが多かった「死」。一方で、歴代の「死」のキャストと持ち味が若干異なる天華えまちゃん。これまでの「死」の方向性を踏襲することもできただろうけど、あえてそうしなかったのかなという印象。幕間に歌劇の座談会を読んでいた時に「死は一人ひとりの後ろに必ずあるもの、生きるものの最後には必ず待っているもの」とお話されていて、「ああ!確かにそういう感じ!だからヘナヘナして、ちょっと笑いながらずっとへばりついてたんだ!」ととても合点が行った。

確かに死というのは人間にとって避けようもなくてとても恐ろしいものだけども、一方で一人一人が必ず経験するもので有り、必ずしも「大いなるもの」出なくてもいいんだ、と気づかせてもらった気がした。そして、そいういう新解釈を表現してるところがすごいなと思って、実は今めちゃくちゃ天華えまさんのことが気になってる。もう一度「死」を演じているところも見たいし、マーキューシオも見てみたい。

また、基本的にはあまり男性的ではない、どちらかというと中性的で座敷わらしっぽい「死」だったんだけど、ラストシーンで碧海さりおくんの「愛」と踊った瞬間「男役スイッチ」が入るのか、急に男性っぽくカッコよくなった気がして、その点も天華さんへの興味を加速させている。(碧海さりおくんの愛がまた折れそうに華奢でね・・・バランスがよかった。)

過去のティボルト比較のリンクはこちら

美弥るりかさん退団の日に

みやちゃんが退団する日に何か書いておきたいというだけでメモします。

今日は千秋楽だ、美弥ちゃん最後の日だなと思いながら、私はもちろん東京にも行かず、twitterなどで皆さんが上げてくださる写真をみてしんみりしていました。

何かみやちゃんが映っている作品を見たい、と退団発表があった日と同じことを思い、エリザを見始めました。前にも書きましたが、私が唯一見に行けた日、美弥ちゃんは休演していて、れいこちゃんのフランツを見ました。そして今日はれいこちゃんが休演中…そこはとても切ないです。

エリザを月組で上演、フランツは美弥るりか、と聞いた時に、「絶対似合わないだろう」と思ったし、ポスターが出た時点でもどっちかというとアルトワ伯爵風味で(そんなことないかな笑)ピンとこなくて。結局公演でも見れなかったのでDVDで初めて見てびっくりしました。こんなに優しいフランツだったなんて…と。

それまでみやちゃんは、「イロモノ役だからこそ魅力的な素晴らしい個性を持ったジェンヌさん」だと思ってたので、トップに万が一なれなかったとしても、「この持ち味はトップになったら向かないかな」と思ってました。それが、フランツで気を衒うことなく素晴らしい男役さんなことにハッと気づき、気づいたけれど二番手退団というのはとても残念でした。

特に、アンナカレーニナ のヴィロンスキー、あと、クルンテープでみやちゃんがセンターで出てくるところ、ああ、みやちゃんがセンターに立って、トップスターをしている月組を見たい、れいこちゃんとありちゃんとを従えて、また別の魅力がある月組を絶対作れる、という気持ちは消えません。

ですが、そんなことを思ってるのは私の方だけで、みやちゃん本人は自分が起こした奇跡を大事に幸せに辞められるのだろうと信じています。本当に、きっと劇団からの期待度も低かったであろうに、あそこまで辿り着く努力を自分で出来たこと、なんの悔いもないだろうなと勝手に想像します。

何を書いてるかわからなくなったけど、本当に卒業おめでとうございます。そして、やっぱりおしゃれなインスタは是非開設してほしいと思います。(笑)

月組『クルンテープ 天使の都』感想: 美弥るりか

ついに美弥ちゃんの大劇場千秋楽だ…昨日の雨が嘘のように今日は朝からいい天気で暖かい。退団者の皆様にとって、ファンの皆様にとって、素晴らしい千秋楽になりますように。

ずっと書きかけててかけてなかったショー『クルンテープ』の美弥るりか様について書きます。

美しすぎて眩しいってこういうことかと知る

– 美弥ちゃんが美しすぎて・・・・・・・。(白目)

– 美弥ちゃんの唇も瞳も漫画みたいにキラキラしていて・・・・奇跡。なんであんなにキラキラするんだろう。そんなキラキラを称えながら優しく微笑まれると、極楽浄土というのはこんな感じではないかと一瞬三途の川を渡りそうになりました。

– この慈愛に満ちたほほえみをくださるこの人が冷酷で欲望に満ちたアルトア伯爵もハマり役であったことに改めて驚く。ああ…『1789』見直そうかな…「私は神だ」が聞きたい…。

好きだった衣装

– ショーではずっと美弥ちゃんばかり見ていた。一番好きだった衣装はオープニングで二着目に出てくる、青をベースにした派手な衣装 & 黒髪ロングの髪型、藤井先生が買ってきた被り物(歌劇参照)のところ。本当に美しすぎて奇跡。麗しくて・・・・。

– 美弥ちゃんのターバンからチラッとだけカールした前髪が出ているところが好き。あの前髪の出方も計算し尽くされてるんだろうか…

涼風真世さんの面影

– 私の中で、「タカラジェンヌさんが道を極めると、その果てにその人がファン時代に憧れていたタカラジェンヌそっくりになる」という仮説があるのですが、それがまた実証された。(個人の感想ですよ。)ショーの中でたまきちと組んで踊るシーン、少しおでこ見えてる髪型にしているせいか涼風真世さんみをとても感じた。(涼風真世さんはリアルタイムでは見ていなくて、NHKで放映されたベルばらとPUCKを見たことがあるだけなのですが、どちらもVHSが擦り切れるまで繰り返し見たので、多分感触としてはあってると思う。)

思っても仕方がないけどやるせないこと

– Twitterなどで感想を読んで知ってはいたけれど、燕尾で銀橋、せり下がり、せり上がりでみんなに迎えられるシーン、トップはもちろんたまきちなんだけども、上級生二番手としてかなりの尊敬を示される演出でとてもよかった。そして素の燕尾服で銀橋を渡る美弥ちゃんの華奢さ、小柄さに改めて驚く。それでも男役として成立する素晴らしさよ・・・・

– 少しモヤモヤしてしまったのは、ショーの中で時々センター美弥ちゃん、両隣にれいこちゃん(月城かなと)、ありちゃん(暁千星)になるシーンがあって、「この体制でなぜ公演しなかった・・・劇団よ・・・・」と悔しい気持ちが沸き上がること。両脇にれいこちゃん、ありちゃん従えた姿を見ると、美弥ちゃんは華奢で少し色変わりの男役だけど、でも絶対にトップスターとして真ん中で成立しただろう、ということを改めて感じてしまってまた残念な気持ちが・・・。

月組『夢現無双』感想:麗しの佐々木小次郎 (美弥るりか)

先週末見てきた月組の『夢現無双』の感想についてキャスト別に述べます。まずは佐々木小次郎(今回が退団の美弥るりかさん)について。

麗しい佐々木小次郎

佐々木小次郎という役はとても麗しい役。無骨な武蔵と対になる役で、いつも綺麗な衣装、慌てず騒がずどっしり、涼しげな佇まい。みやちゃんの麗しさ満開だなーと思いつつ、時々背中の剣をシャキーンと出すところ(私の乏しい表現力よ)とか、最後の対決のところとか、剣豪らしい素早さが見えてかっこいい。

ただ、美弥ちゃんの綺麗さってやっぱりどっちかというと洋物の方が映えるなあ…とも。美弥ちゃんで日本物だとしたら王朝ものとか見てみたかったなあ…

あんまり描かれない佐々木小次郎

美弥ちゃんの佐々木小次郎は綺麗だったけど、いかんせん佐々木小次郎がどういう人間なのかということが劇中で全く描かれていない。どれくらい強かったのか、なんのために無双を貫いていたのか、、わからなくて、とにかく麗しく出てくるという感じの役なのが・・・。もにょもにょ。

キリシタン設定でよく女の人にロザリオあげてるけど(ロザリオ在庫多いなというどうでもいい感想)それも必要?って設定だったしなあ。ちょっと異国情緒出るくらいで…

今回ドラゴンボールみたいな話で、武蔵が次々に現れる強敵に学びながら強くなる、という話なんだけど、とにかく敵の数が多い。そこを少し削って、佐々木小次郎サイドの話を書くことはできなかったのかな・・・・美弥ちゃんこれで最後なのに・・・。

大好きなサイトー先生オープニングのはずなんだけどな…

もう一つふに落ちなかったこと。私は齋藤吉正先生のアニメのオープニングソングみたいな派手なオープニングのファン。エルアルコン鷹とか、カラマーゾフの兄弟とか、好きなオープニングいっぱいある。それは毎回トップ、トップ娘役、二番手が主題歌を歌いながらラインナップしていたのに、今回はたまきちとまたやんのれいこちゃんだけ・・・・。美弥ちゃんは一応せり上がってはいたけれど・・・・。なんであそこで一曲佐々木小次郎サイドの歌でも歌わせなかったのかが疑問。

と、たまきち(珠城りょう)にぴったりの演目だった一方で、美弥ちゃん大好き目線で見ると正直なところ少し残念な気持ちになった夢現無双でした。

月組『夢現無双・クルンテープ 天使の都』速報メモ

月組公演『夢現無双・クルンテープ 天使の都』を見てきた。今回とって下さった方のご厚意でものすごく良いお席で見せていただき、特にショーはずっと興奮しっぱなしでした。

宝塚っぽさはないけど・・・な『夢現無双』

– 夢現無双は「大河ドラマ宮本武蔵」だと考えればすごく真っ当な感じ

– 武芸を極める話だし、修行するために山の中の寺とかにいくことが多いので、絵面がずっとアースカラー。

– 地味なシーンが多いので、はーちゃん(晴音アキ)の出雲阿国が出てきて歌ってくれるとすごくホッとした。はーちゃんすごい。

– たまきち(珠城りょう)も宝塚歌劇のトップスターというよりは大河ドラマの主演俳優っぽい

– さくらちゃん(美園さくら)普通に可愛いと思った。武蔵のことを思って銀橋を渡るシーンが多いんだけど、その時の顔が常に一緒(ルリルリした可愛いお顔)なのが可愛かった。キャリアを重ねて言ったらだんだんと表情豊かになっていくのかなあと思う。

– 美弥ちゃん(美弥るりか)の佐々木小次郎については・・・・あまり描かれてなかったですよね、という感じです。

– れいこちゃん(月城かなと)はあの美貌と役柄のしょうもない男のギャップが素晴らしい。ポッキー巡査とちょっと似てるけど、又八の方がひどい男かな。

– ありちゃん(暁千星)の色気素晴らしい。

『クルンテープ 天使の都』よかった・・・・・!!!!

– アジアをテーマにしたショー、というと、アジアンサンライズのイメージが強くて。アジアをテーマにするとどうしても民族色が強くなって、宝塚レビューとしての美しさが二の次になってしまうイメージがあった。でも、個人的にタイが好きだから、からかもしれないが、今回のクルンテープはタイの「エキゾチックさ」と、ヅカヲタが慣れている「宝塚っぽい美しさの枠」がうまく融合していてすごくよかった。楽しかった。美しかったわー。

– すごく良い席で見せていただいたのですが、ショーの終わり頃、美弥ちゃんが私が座っていた一帯に目線をくださって・・・・・。仏様に微笑まれたらこんな気持ちになるのではないか、と感じました・・・・(白目)。自然と涙が出そうな気持ちになりました・・・・(昇天)。

– 通路側のお席だったのでありちゃんはじめたくさんのタカラジェンヌさんとハイタッチできて嬉しかったです。 

花組『CASANOVA』感想:しょうもな可愛い綺城ひか理

もっと感想にすべき大事なことは色々あるだろう、と自分でも思うのですが、CASANOVAの中でどうしても気になってしまった綺城ひか理さんのモーツァルトについて。

とにかくしょうもなくて可愛い

とにかくしょうもなくて、可愛いあかちゃんのモーツァルト。個人的にあかちゃんの涼しいお顔とすらりとした立ち姿が好きなのですが、モーツァルトお決まりのおかしなヅラを被りこなし、オシャレな衣装を着てウロウロしてる。(ウロウロしているのは演出です。)直接関係ないけど、酒場の皆さんのお衣装は猥雑でありつつおしゃれで、みんな可愛い。

ウロウロしては、セラフィーナ華ちゃんに「「曲が書ける薬、ある?」とか、「楽になれる薬、ある?」とか聞くんだけど、この「やらなきゃいけないことがあるけど、それに向き合うのがいやだから超安易な解決策に走ろうとする」しょうもなさがうますぎる。

小悪魔な華優希ちゃんに好きなようにされる

このいいカモ(モーツァルトです。)を待ち構えている小悪魔セラフィーナ華優希ちゃんが本当に可愛い。ところで、華優希ちゃんのヅカメイク結構眉毛濃くないですか・・・・?元々のお顔がとても好きなので、眉毛とアイメイクはもう少しさりげなくてもいいんじゃないのかなと個人的には思う・・・・。お化粧は若干気になるけど、可愛い顔して「楽になれる薬」というモーツァルトにサクッと毒薬渡す小悪魔さが自然ですごく可愛らしかった。

最後はちゃんと曲を書く音楽家

サクッと毒薬を飲んでサクッと仮死状態になったり、そこで生き返ることが後々の伏線になったり、お話を大団円に結びつけるためのオペラを作ったりと、意外と最後の最後にはちゃんと仕事する男、モーツァルト。「男らしくてかっこいい!!」という役ではないけど、「もう!しょうがないなあ!」と言ってしまう、人間らしくて可愛らしい男性像をあかちゃんが魅力的に表しててすごく好きだった。

星組『霧深きエルベのほとり』感想:紅ゆずるの魅力が詰まったカール

べにー(紅ゆずる)のこと、たまに「お笑いに走りすぎててちょっともういいかな…」と思ったりもする。でもやっぱり本当に好きだなと「霧深きエルベのほとり」をみて思った。

泣ける人柄の暖かさ

べにーとあーちゃんのコンビは本当に素晴らしい。カールとマルギットが出会って一夜を共にしたあと、「結婚しよう、1年に新しい着物は2枚しか買ってやれないけど」のくだりでまず泣ける。爆泣きである。

しあわせなシーンであるはずなのに、本当に心からマルギットのことを愛してて、根がいい人なんだな、暖かい人なんだなと言うことがバシバシに伝わってきて泣ける。

「愛する人のことを思って身を引く」の自然さ

愛する人のことを思って身を引く、といえばベルばらのジェローデルを思い出す。あの人はもはやセリフで「身を引きましょう」とか言ってるので、自然さゼロである。(そもそもベルばら自体が自然さゼロなので、彼はそれで正しいのだが。)

紅カールは、札束でマルギットを殴るシーンが、思ったよりもずっと自然で驚いた。くーみん(上田久美子先生)が「このシーンは絶対に入れようと思います」と言った時には絶対やめたほうがいいと思ったのだが、さすがくーみんである。

その少し前、「親父さんが息子と認めて財産を分けてくれないんじゃしょうがない」というところ、これは悪ぶっているのではなくて半分カールの本心なのかなと思う。そのやりとりとかも含めて、カールが無理やり紳士ぶって身を引いたのではなく、ありのままのカールとして、カールらしくマルギットを愛してそして自然に身を引いてるのでは…と感じた。

それにしても、マルギットと愛を確かめ合って部屋に入って、部屋から出てきたら札束で殴るとは…ドラマチックである。

外見が良い

宝塚の衣装にジーンズ・デニムは鬼門である、とずっと思っていた。ショーとかで使ってすごくダサくなっちゃってるイメージが強くて。

最近は『ロミオとジュリエット』のロミオの衣装とかもあってデニムの扱いが洗練されてきたなと思う。

カールの役は荒くれ者の水夫なので、本来なら衣装も荒くれ者であまり洗練されていなくなりそうなところ、絶妙なバランスで「男臭さ」と「スマートさ」が両立している。マリンルック…かっこいい…!!

それにしても、婚約披露の場で燕尾服を着せられた時の足の長さよ…着られてる感もチラッと出しつつ、本当にすらっとしてカッコよかった。

花組『CASANOVA』感想:ヒロイン仙名彩世ここに有り

ヒロインに見える仙名彩世

「仙名彩世はトップ娘役だけどヒロインじゃない」とずっと思ってた。ダルマで羽背負って娘役を引き連れても(エイトシャルマン@ Sante)素敵、男役引き連れて銀鏡渡っても素敵(@Beautiful Garden)、間違いなく花組のトップ娘役。でも、みりお(明日海りお)と二人で並んで立っている姿にどうしても違和感があって、お芝居でヒロインしているときも、「そうそう、ゆきちゃんはトップ娘役だから、ヒロイン役もゆきちゃんがやるんだよね」と自分を納得させながら見ている感じだった。(気分を悪くさせたらすみません。)でも、CASANOVAではしっかりヒロインに見えた。 この『CASANOVA』で、なぜゆきちゃんはヒロインに見えたのか。それはCASANOVAのベアトリーチェが「自分の意思があり行動する大人の女性」かつ「主人公との恋愛要素が強目の役」だからではないかと思う。

宝塚のヒロインのカテゴリー

宝塚の娘役が演じる枠を大きく二つ、「自分の意思があり行動する大人の女性」と「純粋で強い意志はない若く美しい娘」の2つに分けると、ゆきちゃんがハマるのは「自分の意思があり行動する大人の女性」。一方で、宝塚の場合「自分の意思があり行動する大人の女性で、かつ主人公と恋愛要素強目の役というと「エリザベート」くらいしかない。(いや、スカピンのマルグリットとかもそうだな。)「大人の女性」であれば主人公との恋愛要素が弱いことが多く、主人公との恋愛要素を優先すると「純粋で行動力はない若く美しい娘」の設定が多い。
まとめて見た。(ピックアップしている役に偏りがあるな・・・・)

自分の意思があり行動する大人の女性主人公との恋愛要素強めベアトリーチェ(CASANOVA)
エリザベート(エリザベート)
マルギット(スカーレットピンパーネル)
恋愛要素弱めシーラ(ポーの一族)
アムダリヤ(金色の砂漠)
マナ(邪馬台国の風)
マリア公爵夫人(ME AND MY GIRL)

純粋で行動力はない若く美しい娘主人公と恋愛要素強めマルギット(霧深きエルベのほとり)
マリー(うたかたの恋)
恋愛要素弱め流雨(MESSIAH)

これまでのゆきちゃんは大人の持ち味を優先して主人公との恋愛要素弱めの役をふられるか、無理して純粋な若い娘な役をふられていまいちしっくりこないイメージがあった。

ベアトリーチェの魅力

ベアトリーチェは年齢こそかなり若い設定だと思うけど、知性があり(修道院で教育を受けてきた設定)、行動力もあり、自分の未来の理想をしっかり持っている。その一方で、1000人もの女性をメロメロにさせてきたカサノヴァと恋に落ちてがっつり恋愛する役。それであればゆきちゃんの持ち味と違わないから不自然でもないし、がっつり恋愛しているからヒロインにもみえる。ゆきちゃんにぴったりの役で、生田大和先生もいい役を最後に書いてくれたなー、と生田先生に感謝した。

105期生の芸名について:The Name of タカラジェンヌ Homage

105期の芸名が発表になった!104期の芸名にのけぞって膝から崩れ落ちそうになってからもう1年か・・・・。今年の芸名は去年のキラキラ感と比べるとかなり落ち着いている、というのが最初の印象。タカラジェンヌの芸名によく使われる漢字だったり、意味のある言葉をそのまま素直に使って芸名をセンス良く作っている人が多いなというのが最初のイメージ。いくつか傾向をあげてみる。

①古き良きタカラジェンヌさんの芸名、という雰囲気を感じる芸名が多い

これは完全に主観です。

  • 詩 ちづる
  • 星空 美咲
  • 山吹 ひばり
  • 花翔 ひかり

あたりは、「いかにもタカラジェンヌ」という感じと「クラシカルさ」が同居していていいなあと。おそらく「名前としてオーソドックスな響き」(ちづる、ひかり、とか)だったり、「誰が聞いてもイメージできるもの」(詩、星空、ひばり)とかがそう思わせるのかな。そしてあまりひねりすぎてなくて素直だなと。(いや、104期の「麻花すわん」って名前もすごくイメージできるけど、やっぱり英語だとだいぶ違いますよね。でも「麻花すわん」って名前も今はすごく好きになっちゃったわ。)

②漢字3文字の芸名が目立つ

音彩 唯」さん 「初音 夢」さん「 海咲 圭」さんはじめ11人が漢字3文字。今時漢字3文字というのは古風で珍しいイメージ。(と思ったけど104期にも8人くらいいた)個人的に漢字3文字芸名はオシャレにまとまっている名作がよく現れるので好き。(すごく好きなのは陽月華。)現役ジェンヌさんでいうと華優希ちゃんも舞空瞳ちゃんもそうですね。105期の漢字3文字系もみなさん綺麗にまとまっている。「湖華 詩」さんが特に綺麗で好きかな。(なんて読むんだろう。)関係ないけど初音夢ちゃんってちょっと初夢ちゃんみたいでめでたい。

③「希」「稀」の字を使っている人が多い

ずらっと並べてみるとやたら「希」「稀」の文字が目立つ。希は5人稀は4人(稀を使う人が希を使う人と同じくらい多いどころが時代を感じる・・・。)約1/4の人が使ってるんだからそりゃ目立つか・・・。最近の流行りかと思って確かめたけど104期は1人しかいなかった。やっぱり同期で同じ時期に芸名考えるだろうから、何か同じものに影響されたり、お互いに影響しあったりしちゃうこともあるよね。

105期生の芸名一覧はこちらです。卒業&入団おめでとうございます!

音彩 唯、    夏希 真斗、    詩 ちづる、美空 真瑠、星空 美咲、鳳花 るりな、琴峰 紗あら、紀城 ゆりや、山吹 ひばり、星影 なな、稀惺 かずと、瞳 きらり、愛未 サラ、稀奈 ゆい、初音 夢、 美影 くらら、海咲 圭、 聖 叶亜、 静音 ほたる、七城 雅、 湖華 詩、 月瀬 陽、 朝香 ゆら、美星 帆那、大路 りせ、愛空 みなみ、彩夏 こいき、奏羽 美緒、希翠 那音、遥稀 れお、葵 祐稀、稀 大希 颯、希 槙 照斗、 彩紋 ねお、伶愛輝 みら、泉堂 成、 花翔 ひかり、水城 あおい、青風 希央、明希翔 せい  

(公式からコピペさせていただきました。https://kageki.hankyu.co.jp/news/20190301_011.html

星組『霧深きエルベのほとり』感想:作品の魅力について

霧深きエルベのほとりを、大劇場の千秋楽ギリギリに見に行ってきた。正直全然期待していなくて、見に行くかどうかすらギリギリまで迷い、もちろん前売り券も買っていなかったので、休日に思い立って見に行ってお立ち見券で見た。(9:30ごろ着いたけど11時公演の立ち見がまだ買えてラッキーでした。)結果、見に行って本当によかった。爆泣きにつぐ爆泣きだった。見に行ってしばらくしてからべにー(紅ゆずる)あーちゃん(綺咲愛里)退団発表があり、べにー時代をじっくり見れてよかったと改めて思った。

作品のクラシックさと現代への適応とのバランス

『霧深きエルベのほとり』とは、非常に古い作品。「今更そんな古臭い作品・・・なんで・・・?絶対古臭すぎる・・・」と思っていたのだが、以外とそのクラシックさが新鮮で、みるに耐えないほど古臭くはなく、ちょうどいい具合に仕上がっていたと思う。この「ちょうどいい具合」は、くーみん(上田久美子先生)の腕の良さなんだろうなと改めて感服。作品の世界観は古いけど、衣装は適度にオシャレに(特に水夫の衣装のかっこよさがよい)、幕開きはショーアップさせて盛り上げて(幕開きのビア祭りはくーみん演出なのかな?と予測。大階段も出てくるし最初から盛り上がった。)エンタメ作品としてよかった。
作品の古さ・クラシックさを感じるポイント 一方で、クラシックさはいい感じにしっかり残されている。クラシックだなー、と思ったポイントをまとめてみる。

①言葉遣い:

くーみんが原作のセリフを忠実に残したのか、今では小説でしかお目にかからないようなセリフが多い。ちょっとくすぐったいけど、私はこれがすごく好きだった。このクラシックな言葉遣いじゃないと、この物語は伝わらなかったと思う。

  • 「俺が文士だったら・・・・」

マルギットをわざと振り切ってお屋敷の外に出てからカールが言うセリフ。これが一番古いかなー。

  • 「だからこれから言うことは、兄貴の言葉と思って聞きなさい」
  • 「どこへ行ったのだ・・・・」

単語単語はそんなに古くないんだけど、フロリアン(礼真琴)のセリフもかなりクラシカル満載。同じ大人の女性に対して「兄貴の言葉と思って聞きなさい」というシチュエーションも現代だとあんまりないし、「どこへ行っただ」じゃなくて「どこへ行っただ」と行った瞬間に出る、どっしりしたクラシック感。

  • 「家出娘は、酒場で出会った男にひどい目に合わされる」

現代だったらヤリ捨てられる(お下品ですね)とでもいいそうなところ、かなりオブラートに包んだ言い方が奥ゆかしい。

②いかにも娘役二番手につけそう、と言う役どころのシュザンヌとベティ

シュザンヌ(有沙瞳)とベティ(水乃ゆり)という役、いかにも路線娘役の役だなー、と思いつつ、最近こういう役ないなー。とおもった。「いかにも路線娘役の役」と思ったポイントは –

  • 可愛い、とにかく可愛い。声も高い。
  • 無垢な属性、恋はするんだけど、あくまでも清潔感のある役
  • 作品の中で、感情的には役割を負っているけども物語的に特に大きな役割は負っていない。

フロリアンを密かに思っているシュザンヌ、とか、結婚を決めるベティ、とか、感情的には非常に表現のしがいがありそうな役。一方で、人間的な成長が描かれたり、物語を動かすポイントになったりはしない。 逆にアンジェリカは娘役ではないけども物語に絡む。こういう役割分担をさせるのが、昔風な配役なのではないかなと思った。 最近の作品では、娘役二番手っぽい役でももう少し意思を持った役だったり、物語の中でも意味を持っている役が多いんではないかと。(この点、もう少し解析したいなー。)

今の星組にぴったりの作品

紅ゆずる・綺咲愛里コンビの特徴は、個人的にはトップコンビの相性の良さ、微笑ましさだと思う。この愛らしいカップルをいつまでもめでていたい。その愛らしさ、いじらしさという魅力がカールとマルギットにぴったりで、本当に二人にあった作品だった。その愛らしい二人が結ばれないことで、本当に悲しく、最後まで爆泣きしどおしだった。